放電学会

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放電学会 会長の挨拶

放電学会の使命を果たすために

放電学会 田中康寛会長 この度、第 28 代会長を仰せつかりました東京都市大学の田中です。 図らずも伝統ある放電学会の会長を務めさせていただくことになり、責任の重さに大変戸惑っておりますが、まずは一言、ご挨拶を申し上げます。

私の所属は、以下に記しました通り“機械システム工学科”であり、現在行っている主な研究は、“固体絶縁材料中に高電界下で蓄積する空間電荷の分布測定装置の作製”でして、“放電”と名の付く研究は、“モータ巻線の絶縁被覆材料に蓄積する空間電荷が部分放電に及ぼす影響”ぐらいなものですから、放電の大家である多くの皆様から見れば、変わった人物が会長になったものと、ずいぶん心細い思いをされるのではないかと心配しております。 さらに、会長就任を決める総会も、対面での実施はコロナ禍のために中止となり、また毎年6月に開催される放電学会シンポジウム(今年は7月開催)も、リモートでの開催となりましたので、皆様に直接、就任の挨拶をさせていただく機会も無く、こうして紙面で挨拶させていただくこととなりました。 ただ、多くの方々のご推薦を受けて就任させていただきましたので、精一杯務めさせていただきたいと思います。

さて昨今、技術開発に関わる放電現象は、素人目ではありますが、ますますその重要性を増しているのではないかと思われます。 機器の使用環境は、機器のコンパクト化にともない、思わぬところで放電の危険性を考慮しなくてはならない場面が増えているようです。 例えば、上述したモータ巻線やインバータ用のパワーデバイスなどでは、高温環境で使用される上に、コンパクト化にともなって発生する高電界が放電発生の危機を助長します。 また、このような機器においては、固体絶縁材料と気体からなる複合絶縁である場合が多く、放電発生メカニズムを解明するためには、複雑な絶縁形状についての高度な電界計算や、計算に必要な絶縁材料の物性値の計測など、新たな問題に対処するための研究が欠かせない状況であるように思えます。 それにもかかわらず、このような使用環境における放電の危険性について、専門的な立場から助言できる人材は、研究者の高齢化による引退と、若手の人材不足から、減少の一途をたどっていることも事実です。 すなわち、放電学会は、社会の要請に応じて、これまで多くの研究者・技術者が培われてきた放電に関する技術的な知見を基礎に、新たな環境に対応できる若手の技術者を育成する使命があるものと考えています。

このような目的のために、前回リモートで実施したシンポジウムでは、従来とは趣を変え、著名な放電の専門家による、放電の基礎に関する講演を行っていただきました。 また、リモートで実施したために、学生を含む多くの若手研究者が参加してくださいました。 シンポジウム後には、参加者からの多くの質問に対して、講演者が Web 上で回答するなどの試みも行っております。

このコロナ禍の中では、例年実施している若手セミナー、年次大会も、リモートでの開催を余儀なくされますが、リモートでの開催の特徴を生かして、遠隔地を含む多くの若手研究者やさまざまな異分野からの参加者が、専門家の知見を学ぶとともに、これまでの枠を越えて、相互啓発出来る環境を実現したいと考えております。

上記のような発想は、従来の放電研究の専門家の方々から見れば奇異なものであるかもしれませんが、私のような、ある種“異色”な会長であるがゆえに実施できる試みであり、そのような活動を期待されてのご推薦であったと解釈しておりますので、ご理解いただき、ご協力いただければ幸いです。

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