放電学会

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放電学会 会長の挨拶

予測が困難な時代での放電学会のあり方を考える

放電学会 西川宏之会長 第29代放電学会会長を仰せつかりました、芝浦工業大学の西川です。会長就任にあたり、ご挨拶を申し上げます。

放電学会とのお付き合いは、30数年前に大学の恩師の研究室の本棚にズラリと並ぶ、鮮やかなオレンジ色の放電研究会誌を目にした時からです。 放電という研究分野があるのだなという認識しかなかった当時、学部4年生の私自身が30数年後に会長を仰せつかるとは夢にも思っていませんでした。 その後、学会事務局のある芝浦工業大学電気工学科に着任し、当時事務局を運営しておられた野末鉄有先生とお会いし、 今日に至ったことは深いご縁を感じつつ、多くの先輩方の築き上げてきた本学会の伝統の重みに身の引き締まる思いです。 私自身の専門は、イオンや光子などの量子ビームを材料に照射し、微細な加工・改質することで機能を発現させるための研究であり、 放電の基盤技術としての持続的な研究の重要性を強く認識しております。

さて、本学会の設置の目的は(1)国内における放電研究の促進と(2)放電研究に関する国際交流とあります。 (1) は年次大会、シンポジウム、若手セミナー、(2) は会員の国際会議への参加とその議報告等によって地道に継続されてきました。 2020年に発生したコロナ禍の下、田中前会長の折には、本学会のシンポジウム、若手セミナーおよび年次大会、さらにはすべての総会、理事会をオンライン開催により乗り切りました。 アフターコロナを迎えた今、2022年度のシンポジウムは対面・遠隔のハイブリッド、若手セミナーは対面、年次大会は遠隔とメリハリをつけて柔軟に対応することといたしました。 国際交流に関しても、ある程度緩和され、外国研究者の入国や国外渡航も可能になり、ようやく明るい兆しが見えて参りました。

コロナ禍に加え、国際紛争を契機に発したエネルギー問題により、昭和、平成と私たちが慣れ親しんできた生活様式や培ってきた知識・常識が通用しない時代を迎えております。 このように予測が困難な情勢の中にあって、我々、研究者・技術者も厳しい選択を迫られつつある時代です。 SDGsやカーボンニュートラルといった、グローバルな社会的課題の解決に向けた目標設定の下、世界は技術革新を通じて着実に前に進んでゆくものと確信します。 このような社会情勢下で、放電学会においても、その社会的な役割を改めて見直し、同時にその運営の在り方も見直す時期に来ています。

新理事会で一丸となって学会の運営に取り組んでゆく所存でございます。 会員の皆様方のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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