放電学会

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放電学会 会長の挨拶

放電学会会長就任にあたって

放電学会 松本聡会長 2016年3月より2年間、会長を拝命しました芝浦工業大学の松本でございます。会長就任に当たり、この場をお借りしまして一言ご挨拶を申し上げます。

放電学会は、電離気体現象に関する国際会議の日本代表者に対し学術会議からの旅費支援を受けるため、この候補者を推薦することを直接の動機として昭和32年10月に結成されました。当時は放電研究グループと称し、有志の集まりであったと伺っています。その後、昭和59年7月に「放電研究」100号記念号および100号別冊(放電研究総目次)を発行し、記念事業として「放電研究」100号記念学術講演会および記念パーティを開催しています。また、平成9年には、創立40周年記念として若手の方々の「放電研究の将来像」をかたる講演会を開催しています。そして平成29年(2017年)には創立60周年を迎えます。

放電に関する研究は、高電圧・電力機器、静電機器など高電圧を使用するあらゆる機器の絶縁設計やさまざまな放電を応用した機器の研究開発、あるいは放電現象の解明に必要な計測機器の技術進歩にきわめて重要な役割を果たしてきています。例えば長年、本分野の夢であった1000kV送電は、すでに実用化されました。また、放電現象の解明に必要なオシロスコープは70GHzにおよぶ超高帯域のものが市販され、高気圧ガスにおける電子なだれの成長過程などを光速度のレベルで詳細に計測できるように進歩しています。これらは理論的限界に迫る快挙といえることは疑う余地もありません。

また今日では高電圧のみならず、電気電子機器、特に半導体の小型化に伴い低電圧であっても高電界が生じることによる放電現象や帯電が関係する現象の解明が急務となっています。さらに電気自動車の実用化は、今後インバータ駆動電動機の高出力化により、駆動電圧の高電圧化が進み、電動機巻線の絶縁設計が非常に重要な技術課題になってきています。この分野では材料そのものの技術進歩と共に放電現象が関与する材料の劣化やインバータ波形に対する巻線の絶縁設計が大きな技術課題になっています。これに加えて、放電に関連した大規模解析技術や信号処理技術、あるいはシミュレーション技術にも大きな期待が寄せられています。特にナノ材料における荷電粒子の制御技術の研究は、密度汎関数を用いた量子化学分野の新たな知見を導入することにより、絶縁材料の飛躍的な進展が期待されています。また航空機や鉄道分野における耐雷設計にも、放電学会に対する期待に大きなものがあると認識しています。

このような学問的・技術的背景のもと、当学会の活動は、ともすれば忘れられがちな放電に関する基礎知識や技術継承に努めるとともに、将来を担う若手技術者の育成に力を注いでいます。具体的には、創立60周年にむけた放電学会シンポジウム、年次大会の企画と実施、当学会の雑誌である「放電研究」の発刊、ホームページを活用した広報活動、新規会員の獲得、企業との連携強化、見学会など魅力あるイベントの開催を実施して参ります。
皆様にとりましては、最先端の研究動向の把握や情報交換の場として本学会を有効にご活用して頂きますとともに、皆様ご自身の積極的なご支援とご参加を心からお願い申し上げまして、ご挨拶と致します。

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